⑫旧油三洋裁店#マツモト建築芸術祭 六九に想いを馳せる
マツモト建築芸術祭巡り 松本冬さんぽ
六九へと訪れました。
かつて大きなアーケード通りの六九商店街 辛うじてアーケードがあった頃ギリギリ知っています。
アーケードが取り壊され、十数年経過した後中心に大きなマンションが建ち、街の様子はすっかり変わってしまいました。
⑫旧油三洋裁店
最初に訪問したのは、旧油三洋裁店 20年間閉めていた店舗をスタッフの皆さんで大掃除をして会場に蘇えらせたそうです。
建築年 昭和初期か 設計者 不明 施工者 不明
建物の南面の壁に、「油三洋裁店」「一級技能士」などの文字が残っていて、衣服の裁ち縫いや縫い直しなどの仕立業を営んでいたことが読み取れる。昭和12年の記録では、松本市の足袋の生産量は行田市に次ぎ全国で2位であり、大正時代に伊勢町で足袋股引製造業を営んでいた商家として油三の記録も残る。市民の生活が和装から洋装になり、需要の変遷に応じ洋裁店として業種替え、あるいは事業の拡大を図ったのであろう。
北隣の仏具店とは屋根や1階の庇ラインの意匠がつながっており、同一棟であることがわかる。店舗の境目で正面の外観を変えた、いわゆる「長屋建て看板建築」である。洋裁店側は石張りを模した目地を切った洗い出し仕上げの外壁で、レリーフなどの装飾は施されてはいないが、洋服の仕立屋にふさわしい洋風を前面に押し出した意匠である。
入口には靴脱ぎがあり、店の手前部分から板張りの床になっている。この部分はもともと土間で、框から奥の部分のみが板張りだったと思われる。南側には窓があり、明るい作業スペースであったに違いない。天井から下がる糸巻やメジャーが、洋裁店であった記憶を物語る。(マツモト建築芸術祭公式サイトより)
洋裁店の名残りのメジャーが残っています。
ショ-ウィンドーの中に飾られているのは、デザイナーの吉本天地さんの作品です。
吉本天地 Amachi Yoshimoto
ファッションブランド「amachi.」(あまち)のデザイナー、吉本天地は平成5(1993)年、北カリフォルニアの山奥、エルクバレーに生まれる。両親はミュージシャンで、当時全盛だったヒッピーカルチャーの中、電気も水道もなく自然の中で全てを手作りするという環境で幼少期を暮らす。
その後日本へ移住し、高校卒業後、独学で服作りをスタート。国内外のブランドやパターンオフィス等で経験を積んだのち、平成29(2017)年、長野県の山麓にアトリエを構え「amachi.」を創設。自然と都市の物理的、精神的距離感をどう測るか、物凄い速さで変化し消費し続ける現代の生活の中に、自然が持つ時間軸や普遍性、複雑性をどのように見出し、融合させていけるのか。その独自の考察から生まれるコレクションを、唯一無二のデザイナーとして発表している。
(マツモト建築芸術祭公式サイトより)
そして左の写真は、写真家のヨーガン・アクセルバル氏が撮影
すぐ近所の六九で代々紙店を営とまなれている島勇店主の伊藤さんがモデルをされ、デザイナー天地さんの服を身にまといショーウィンドウの中に入って撮影されたそうです。
ヨーガン・アクセルバル Jörgen Axelvall
スウェーデン生まれの写真家。ニューヨークに15年間滞在した後、平成23(2011)年、日本へ移住。現在は東京を拠点に、世界各地で展覧会を開催している。
親密と孤独にまつわる作品は、セレクトフォーカスやソフトフォーカスの効果を利用し、抽象化された夢のような世界を想起させる。一つのプロジェクトにじっくり時間をかけることが多く、個人的でありながらも普遍的である。極端な脆さと美しさを撮すことで、視覚的な物語として被写体を瞬間的なエッセンスへ変えようと試みる。その写真は彼が創作する実験的な詩文と響き合う。(マツモト建築芸術祭公式サイトより)
長い間沈黙を守っていた小さな店
見たこともないカッコイイアートが並ぶ
限りなく深い世界が広がってる。心躍る♪
アーケードが無くなっても、変わらず営みを続けている店主さんたちがモデルとなり、天地さんの衣装を見に着けそれをヨーガン・アクセルバルさんが撮影した写真が、店内に展示される。グルグル回り面白い。
森脇刃物店 六九にあるお店の駐車場で撮影
何度も通っていたこの場所がなんであったかと考えたこともありませんでした。
マツモト建築芸術祭でこの場所が蘇り、歴史を重ねた建築物の重厚さ上で新しい形で、二人のアーティストの世界を見せてくれる
アートはすでに既存の箱の中には収まらない。様々な可能性を見せてくれる「マツモト建築芸術祭」本当に面白い!
同じ場所を取材したこちら↓のブログもご覧ください。